4-1;信大、長野ほか:ピルシカイニド

4-1;信大、長野ほか

ピルシカイニド(Pilsicainide))はIc群抗不整脈薬の一つである。NaV1.5英語版 Na+チャネルを遮断し、ナトリウムの細胞内への流入を遅らせて心筋の活動電位の立ち上がり(最初の脱分極)を遅くする[1]。ピルシカイニドは純粋なナトリウムチャネル英語版遮断薬であり、カリウムチャネルおよびカルシウムチャネルは遮断しない[2]ピロリジジン骨格を持つ。商品名サンリズム
ピルシカイニドは単回投与で正常洞調律・左心室正常の心房細動を治療できる[5]。また慢性心房細動への長期投与も可能である[6]
禁忌である[3][4]
Na+チャネルに細胞内外から結合する[7]。その親和性はチャネルの状態に依存し、閉じた状態のチャネル分子でより高く、開いた状態では低い[8]。ピルシカイニドの結合選択性は、チャネルを封鎖し[9]、ナトリウムイオンが心筋細胞内に流入することを妨げる。これにより細胞膜の電位依存脱分極が遅延するが、活動電位全体の持続時間には影響しない[9]。脱分極の抑制は使用依存的で[10]、刺激が大きくなる程阻害効果も大きくなる。同時に、心筋の刺激伝達を濃度依存的に遅延させる[11]。これにより心筋の不応期が後ろ倒しとなり[12]、1c群抗不整脈薬としての効果を発揮する[13]
ピルシカイニドは心室性[14]および上室性不整脈に有効であり、副作用は少ない[15]。特に心房細動に対する有効性が高い[16]。心房細動は多彩な原因で発生し[17]、心房で不規則な速い刺激が乱れ飛び短時間で刺激のリエントリーが繰り返され[18]、心筋が再興奮することで一部の心筋細胞のみが繰り返し脱分極して、心房が非規律的な小さな収縮を繰り返す[19]。ピルシカイニドは心房の伝達速度を遅くし、不応期を延長させる事で心房細動を抑制する[20]。この不応期の延長がピルシカイニドの作用の特質であり、心筋の再興奮までの時間が長くなる事で心房細動が抑止される[21]

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