4-2;2、カルペリチド(Carperitide)、ハンプ

心房性ナトリウム利尿ペプチド(しんぼうせいナトリウムりにょうペプチド、英語名:Atrial Natriuretic Peptide、ANP )は、生理活性を持つアミノ酸28個からなるペプチドの1種であり、主に心房で生合成して貯蔵され、必要に応じて血液中に分泌され、ホルモンとして作用する。
心房性ナトリウム利尿ペプチドが血中に分泌されると、末梢血管を拡張させることによって血管抵抗を下げ、これによって心臓の負荷を軽減する。また腎臓で、心房性ナトリウム利尿ペプチドは水分の排泄を促進させる方向の作用(利尿作用)を持ち、これによって体液量を減らして心臓の負荷を下げる。これらの作用によって、心房性ナトリウム利尿ペプチドは血圧降下作用物質として働く
心房細胞に顆粒があり何らかのホルモンがあるのではないかと言われていたが、カナダのド・ボールド[2]らが1981年に、血管拡張作用とナトリウム利尿作用があることを示した。フライン[3]らが1983年にラットのアミノ酸配列を決定しヒトの配列は宮崎医科大学(現宮崎大学医学部)の寒川賢治松尾壽之らによって報告された。ヒトのANPはhANPと称されることもある。
  • 血液中のhANP濃度測定が行われる。hANP濃度は心不全の程度を反映する。
  • カルペリチド(α型hANP)製剤、商品名ハンプが、急性心不全の治療薬として上市されている。
  • 肺がんの転移を抑制[4]することが報告されている。
カルペリチド(Carperitide)、商品名ハンプ®とはヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドの薬理作用をもった心不全治療薬である。
腎血管の拡張により緩徐な利尿作用による前負荷の軽減のほか、血管拡張による後負荷の軽減および心筋細胞のアポトーシスネクローシスを防止する心筋保護の作用をもつ。利尿薬血管拡張薬を合わせたような作用となるが、電解質代謝異常、不整脈の発生といった副作用が極めて少なく急性心不全の治療薬として非常に好まれる。副作用としては血圧の低下と徐脈があるため、低血圧、右室梗塞、脱水の状態では使用禁忌となる。
膜結合型グアニル酸シクラーゼを活性化させることによりGTPからcGMPへの変換を促進し、腎臓に作用して利尿作用、血管に作用して血管拡張作用を示す。
急性心不全を呈した患者でEFが35%以上で収縮期血圧が100mmHg以上の場合に適応がある。心係数(CI)が2.2以下の場合は強心薬昇圧剤を併用して使用する場合が多い。ハンプ®の1アンプルには1000μg含まれている。開始量は0.05γ[1]であり、収縮期血圧をみながら増量し、0.05γずつ増量していく。維持量は0.1~0.2γであるため、体重が50Kgの場合はハンプ®3Aを5%ブドウ糖液50mLに溶解すると、0.06mg/mLとなるため2.5mL/hrにて開始量0.05γとなる。




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