顕微鏡的多発性血管炎;3/21のメモ 尿潜血、赤血球円柱

3/21のメモ;尿潜血、赤血球円柱

>>顕微鏡的多発性血管炎;
1994年に米国Chapel Hillで開かれた国際会議において、これまで結節性多発動脈炎と診断されていた症例のうち、中型の筋性動脈に限局した壊死性血管炎のみを結節性多発動脈炎と定義し、小血管(毛細血管、細小動・静脈)を主体とした壊死性血管炎は別の疾患群として区別されることになった。後者は、血管壁への免疫複合体沈着がほとんどないことと抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody: ANCA)陽性率が高いことを特徴とし、ANCA関連血管炎症候群と定義された。このうち、肉芽腫性病変のみられないものが顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis: MPA)と定義された。
http://www.vas-mhlw.org/html/kaisetsu-iryo/3-1-1.html

>>男女比はほぼ1:1で、好発年齢は55~74才と高齢者に多い疾患である。
年間発症率はドイツでは百万人あたり3人、英国にでは百万人あたり8.4人と報告されている。わが国の難治性血管炎に関する調査研究班の新規発症患者コホートでは、発症時平均年齢71.1歳、男女比は1.2で女性の比率がやや高かった。
原因は不明である。アジア系集団では、HLA-DRB1*09:01、HLA-DRB1*11:01がリスクアリルとする報告がある。好中球細胞質の酵素タンパク質であるミエロペルオキダーゼ(MPO)に対する自己抗体(MPO-ANCA)が高率に検出されることから、背景に自己免疫異常が存在すると考えられる。このANCAが小型血管炎の発症に関わることが判明してきた。過去の研究班コホートでは、78名中97.4%がMPO-ANCA陽性、2.6%がPR3-ANCA陽性、1.3%がANCA陰性であった。最近、好中球細胞死の形態である好中球細胞外トラップ(NETs)の制御異常がANCA関連血管炎の病態形成に関与することが報告されている。

発熱、体重減少、易疲労感、筋痛、関節痛などの全身症状(約70%)とともに、組織の出血や虚血・梗塞による症候が出現する。腎臓では壊死性糸球体腎炎が最も高頻度であり、尿潜血、赤血球円柱と尿蛋白が出現し、血清クレアチニンが上昇する。
数週間から数ヶ月で急速に腎不全に移行するため、早期診断、早期治療が極めて重要である。その他、頻度が高い臓器症状は、呼吸器症状(間質性肺炎:約50%、肺胞出血:約10%)、皮膚症状(紫斑、皮膚潰瘍、網状皮斑、皮下結節など:約20%)、神経症状(多発性単神経炎など:約40%)、耳鼻科領域の症状(約10%)などである。間質性肺炎や肺胞出血を併発すると咳、労作時の息切れ、頻呼吸、血痰、喀血、低酸素血症を生じる。結節性多発動脈炎に比べると高血圧の頻度は少ない(約30%)。心症状は約10%にみられるが、消化管病変は他のANCA関連血管炎に比べて少ない。

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