矜持、教示、今日路; 8月31日、金曜日
今朝も4時前に眼が醒めて、身仕度をしつつ、ラジオのスイッチを入れる。 声の様子からすると、どうやら大学の先生が二人、戦前後の社会について論じていた。 とても印象的なエピソードを語る戦前の人。札幌に住んでいた頃、進駐軍のジープが停まり、数学の教師をしていた父親に空港への道を尋ねた。父が教えてあげると、米兵は小学生だった兄弟にどっさりチョコレートをあげて立ち去った。すると、父親はその貴重なチョコレートを全て川に投げ捨てた。ずっと無言のまま、親子3人は家路につついた。 終戦直後で食べるもの、学用品など全てが乏しい中、特に幼いこどもにとって夢のようなチョコレートが棄てられた。 この先生は、父親の行為について、一切言及しなかったが、私にはよくわかる、これが昔の男子たるものが示した最大の教育だと思う。 物量では敗れたかもしれないが、ここる、精神面では決して負けていない。 昭和初期までの教育を受けた人に共通に考え方だったと思う。 翻って、私は息子に何を示してきただろうか。仕事最優先で、全てを母親任せだった。 夜中に電話があると、どんな時でも直ぐに出掛けていく、当たり前の事だがそれくらいしか示せなかったと思う。 強いていいほうに解釈すると、子は親の背中を見て育つ。