有終の美;日本の底力

「俺は銀だったが、サム(ワンジル)には金メダルを取ってもらいたい」
バルセロナ五輪で銀メダルの森下広一監督が、北京五輪直前に独立したケニヤのワンジル選手を送り出した言葉だ。森下監督は、仙台育英から実業団チームに入った彼にマラソンのイロハを指導した。
昨夜の閉会式で行われ、表彰台のトップに立ったワンジルは、日本の報道陣へ流暢な日本語で感謝の弁を述べた。
 もうひとつ、マラソンレースでの感動場面は、35キロ地点で見られた。「マラソンの始まりは35キロから」と恩師から口酸っぱく言われてたのに、そこでの給水を失敗したワンジルへ、エチオピアのメルガ選手がボトルを差し出してくれた。目立たないが、これがスポーツの真髄と思う。

日本のメダルの数をあれこれ言う人もいるかもしれない。そこに届かなかった多くのアスリート、そしてバックアップした多くの関係者は、どのように考えているのだろうか。わたしは思っている、シンクロのコーチなどを含めて日本のスポーツ指導者が獲得したメダルは、表彰台よりも遙かに輝いている。

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